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健康診断での異常

そもそも健康診断って?

病気はなる前に予防することができるのがベストです。病気になってしまっても、病気を早期に発見、治療することで健康寿命を延ばすことができます。

学校検診で指摘された心電図の異常、心雑音について、詳しくはこちら

予防医療において、病気の予防は1次予防2次予防3次予防に分けられます。

1次予防、2次予防、3次予防とは?
1次予防:病気になるのを防ぐ

1次予防の目的は、病気の発生を防ぐことです。

例えば、生活習慣の改善が挙げられます。禁煙バランスの取れた食事定期的な運動肥満の解消などが代表的です。これらを意識することで、心血管疾患や糖尿病などのリスクを減らすことができます。

他にも、予防接種などで病気を予防することも大切です。

2次予防:早期発見と早期治療

2次予防は、病気になってしまった場合に早期に発見し、早期に治療を開始することを目的としています。健康診断では、血圧測定、血液検査、がん検診などが行われます。これにより、高血圧症や脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病や早期のがんなどを発見し、適切な治療をすぐに開始することが可能です。

3次予防:病気の悪化を防ぎ、機能の改善を図る

すでに疾病が発病し、疾病として完成した後に、リハビリテーションや再発防止をすることで、社会復帰できる機能を回復させ、またそれを維持することをいいます。

出典:厚生労働省 こころの耳 

項目別の説明

各項目に、目次から飛ぶことができます。

脂質代謝

コレステロールの値に異常がある場合を脂質異常症とよびます。脂質異常症は動脈硬化と強い関連があり、狭心症心筋梗塞脳梗塞などの動脈硬化疾患のリスクが高くなります。

脂質の測定は、厳密には、前日の夜から10時間以上の絶食.水やお茶などカロリーのない水分摂取は可能です。これは、中性脂肪の値が食事の影響を受けるためです。

HDLコレステロール

HDLコレステロールは「善玉コレステロール」とも呼ばれます。HDLコレステロールの値が低いと動脈硬化疾患のリスクが上昇します。

LDLコレステロール

LDLコレステロールは「悪玉コレステロール」として知られています。LDLコレステロール値が高いと、動脈硬化疾患のリスクが上昇します。

中性脂肪

中性脂肪は、食事から摂取した脂肪や体内で生成された脂肪の1形態です。エネルギー源として使用されるほか、過剰に摂取した場合は体脂肪として蓄積されます。また、中性脂肪の値が高いと膵炎のリスクが高まることが知られています。中性脂肪の値は、空腹時に測定することが必要です。

総コレステロール

総コレステロールは、血液中の全てのコレステロールの合計値を指します。動脈硬化疾患のリスクの評価には、HDLやLDLといった、個別のコレステロールの値が重要です。

 

LDLコレステロールの値の他に、喫煙、糖尿病、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの動脈硬化疾患をご家族がお持ちの場合は、動脈硬化疾患のリスクが高くなり、積極的な薬物治療が検討されます。

脂質異常症について、詳しくはこちら

悪玉コレステロールを下げる薬について、詳しくはこちら

 

糖代謝

血糖値

血糖値は、血液中のグルコース(糖)の濃度を指します。食事の影響をうけ、空腹時血糖随時血糖に分けられます。

空腹時血糖

空腹時血糖は、食事を摂らない状態での血糖値を指し、厳密には、10時間以上絶食後の値を測定します。正常値は70-109 mg/dLです。空腹時血糖が高い場合は糖尿病や境界型糖尿病である可能性があります。

随時血糖

随時血糖は食事摂取に関係のない血糖値のことで、通常は「食後血糖値」のことを指します。食後2時間以内の血糖値は140 mg/dL 以下が健康とされています。高い値が続く場合は、糖尿病や境界型糖尿病である可能性があります。

尿糖

尿糖は、尿中に排出されるグルコース(糖)のことを指します。通常、腎臓はグルコースを再吸収し、グルコースは尿には含まれませんが、血糖値が腎臓の再吸収能力を超えると尿中にグルコースが現れます。一般的には、血糖値が160〜180mg/dlを超えると尿糖が陽性となります。また、SGLT2阻害薬などの薬の内服中は尿糖が陽性となることがあります。

HbA1c(ヘモグロビンA1c)

HbA1cは、過去1〜2ヶ月の平均血糖値を反映する指標で、血液中のヘモグロビンにグルコースが結合した割合を測定します。血糖値の日内変動に影響されにくいため、HbA1cは糖尿病の管理において重要なツールとなっています。

糖尿病とその検査について、詳しくはこちら

糖尿病の治療について、詳しくはこちら

 

肝機能異常

AST(GOT)

AST(GOT)とはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの略であり、肝臓の他に骨格筋や心臓の筋肉にもある酵素の名前です。この数値が高い場合、肝障害が疑われます。

ALT(GPT)

ALTとはアラニンアミノトランスフェラーゼの略であり、肝臓の中にある酵素です。この数値が高い場合、肝障害が疑われます。

γGTP

この酵素は飲酒や、肝障害などで上昇することがしられています。

✔肝機能異常を指摘された方は、B型肝炎、C型肝炎のチェックをおすすめしています。 その他、自己免疫性肝炎など、肝機能異常の原因となる疾患のスクリーニングも行っております。

✔急性肝炎やアルコール性肝炎ではAST>ALT、「慢性肝炎」や「脂肪肝」はALT>ASTとなりやすいとされています。

✔当院では腹部エコー検査を含めた肝機能のフォローを行っています。

 

貧血・血球の異常

赤血球

赤血球は血液中に酸素を運搬する血球であり、ヘモグロビン(Hb)の値が貧血の指標となります。

ヘモグロビン(Hb)

ヘモグロビンは赤血球に存在し、酸素を全身に運搬する働きを担っています。

貧血がある場合に、鉄剤の補充などが行われます。

白血球

この数値の異常は、白血病と関連することがあります。他に、風邪をひいていたりしても上昇します。

血小板

止血する時に働く血球です。白血病などの血液疾患でも異常をきたしますが、肝硬変など、他の病気でも影響を受けることがあります。

貧血について、詳しくはこちら

 

腎機能・尿検査

クレアチニン

クレアチニンは腎機能の指標となる数字です。クレアチニンは筋肉量の影響を受けるため、eGFRなどの指標で腎機能に換算します。また、体の水分量が少ない状態でも数値が上昇します。

eGFR(推定糸球体濾過量)

eGFRは腎機能の指標であり、クレアチニンの値を元に年齢、性別を考慮して算出されます。

eGFR<60mL/分/1.73m2では腎機能の低下が疑われます。

慢性腎不全について、詳しくはこちら

尿潜血

尿潜血とは、尿に血が混ざっている状態です。目で見えるほどの血尿は肉眼的血尿と呼ばれ、目で見てもわからない程度の血尿は顕微鏡的血尿と呼ばれます。

尿は腎臓で作られ、尿管・膀胱を通って排出されるため、この経路のどこかで出血が起きていることが疑われます。

代表的な疾患として、膀胱炎などの尿路感染症、尿路結石悪性腫瘍糸球体腎炎などがあります。

状況に応じて、腹部エコー、尿細胞診の確認を行います。

蛋白尿

蛋白尿とは、尿にタンパクが混じっている状態です。

起立性蛋白尿

起きて体を動かすと蛋白尿がみられる良性のタンパク尿で、若い方に多いとされています。早朝尿を検査し、陰性であれば問題ありません。

一過性蛋白尿

風邪尿路感染症などで発熱があるなどの体調不良や運動後などにも蛋白尿が出現することがあります。

その他、タンパク尿は慢性腎不全などの腎機能障害でも出現し、腎機能の予後との相関があります。

タンパク尿が陽性となった方は、一度当院までご相談ください。

 

循環器

心雑音

心臓についている逆流防止の弁の異常や、心臓の中隔(心臓の内部を隔てる壁)に穴があいていてシャントが出来ている心室中隔欠損症などが疑われます。心雑音が聴取された場合には、心エコーによる病態の把握が大切です。

心臓弁膜症について、詳しくはこちら

高血圧

高血圧は狭心症心筋梗塞脳梗塞脳出血大動脈瘤眼底出血慢性腎不全など様々な病気の原因となるため、しっかりと管理することが大切です。また、緊張していたりしても血圧の数値はあがるため、健診で高血圧を指摘された方は、家などのリラックスできる環境で血圧を測定するなど、家庭血圧を把握することが大切です。

高血圧について、詳しくはこちら

心電図
右脚ブロック・左脚ブロック

無症状で、他に心疾患がない場合には、経過観察でよいことが多いです1,2)。初めて指摘された場合には、医療機関の受診をおすすめします。

ST-T異常(低下)

狭心症などでこのような変化がでるため、注意が必要です。特に、労作時に胸部症状がある方は、なるべく早く医療機関を受診しましょう。(症状がなくても、健診結果の指示に従い、受診をお願いします。)

ブルガダ症候群

命に関わる不整脈と関係する、遺伝性の疾患です。

1)ご家族がブルガダ症候群と診断されている

2)心停止に陥ったことがある

3)失神してしまったことがある

4)心室頻拍などの不整脈を指摘されたことがある。

これらに該当する方は、特に注意が必要です。なるべく早く医療機関を受診することをおすすめします。

心電図の異常は多岐にわたります。要精査の判定となった方は、一度当院までご相談ください。また、心電図の変化は過去のものと比較することも役に立ちます。

詳しくは、それぞれのページをご覧ください。

狭心症について、詳しくはこちら

不整脈について、詳しくはこちら

心房細動について、詳しくはこちら

学校検診で指摘された心電図の異常、心雑音について、詳しくはこちら

 

呼吸器

胸部X線検査

多くの場合、CTによる再検査が必要となります。

当院ではCT検査を行うことができません。

当院を受診された場合には、トヨタ記念病院などの近隣の病院でのCT検査をご予約いただけます。

 

その他

高尿酸血症(尿酸の数値が高い)について、詳しくはこちら

通風について、詳しくはこちら

骨粗鬆症について、詳しくはこちら

参考文献

1)UpToDate:Right bundle branch block

2)UpToDate:Left bundle branch block

・この記事は、より多くの方に病気に関しての知識を深めてていただく目的で執筆しています。病状ごとに、その方に提供される最善の医療は異なるため、治療方針に関しては必ず主治医にご確認ください。

・この記事は、信頼できる専門家の先生方が執筆、監修されているという観点、評価の定まっていない原著論文の引用を控えるという観点から、原著論文に加え、学会発行のガイドラインや、世界的に信頼され、参照されているデータベースであるUpToDateを積極的に参考文献として参照させて頂いております。

・記事の内容に不備、誤りなどありましたら、当院までご連絡いただけますと幸いです。正しい医療知識の普及のため、専門医をはじめとしたプロフェッショナルの方からのご意見・フィードバックを、是非ともお願いいたします。

文責:院長、認定内科医

最終更新日:2024/12/23

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