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薄毛

男性では飲み薬(+塗り薬)、女性では塗り薬(+飲み薬)がおすすめです。

✔このページでは、薄毛治療の科学的根拠を解説しています。

薄毛(AGAandrogenetic alopecia)とは?

AGAとは、アンドロゲン(男性ホルモン)の関係する薄毛のことを指します。androとはアンドロゲンが関与する、ということであり、geneticとは遺伝の要因が関与するという意味で、alopeciaは脱毛症という意味です。

薄毛の中には、アンドロゲンと関係のない場合もあるため、男性型脱毛症(MPHL:Male pattern hair loss)女性型脱毛症(FPHL:Female pattern hair loss)と呼ばれるようになりました。

 

毛周期(ヘアサイクル)とは

髪の毛には毛周期(ヘアサイクル)があり、生えて、伸びて、抜け落ち、再び生えるということを繰り返しています。

男性では3〜5年、女性では4〜6年が1サイクルといわれています。

成長期

髪が伸びる時期です。成長期の髪は全体の85〜90%とされています。1日に約0.3〜0.4mm、1年で約15cm伸びます。

退行期

髪の毛の成長が遅くなります。2〜3週間続き、髪全体の1%とされています。

休止期

髪の成長が完全に止まります。休止期は2〜3ヶ月続きます。やがて、新しい髪の毛が生えてくると、古い毛は押し出されるようにして自然に抜けます。1日に50〜100本の毛が抜けるとされています。

 

男性型脱毛症

進行性の脱毛症です。主に頭頂部や前頭部の髪の毛が薄くなります。成人男性の20代で約10%、30代で20%、40代では約30%の方に発症するとされています。1)男性型脱毛症は、遺伝的要因とアンドロゲン(男性ホルモン)が大きく関与しています。

一般的に、男性ホルモンは骨や筋肉の発達を促し、ヒゲや胸の毛を濃くしますが、頭では逆に薄毛の原因となります。

男性ホルモンであるテストステロンは、5αリダクターゼによって、より活性の強力なジヒドロテストステロン(DHT)に変換されます。ジヒドロテストステロンが毛根にある受容体に結合すると、髪の毛の成長期が短くなると考えられています。

男性型脱毛症では、毛周期の成長期が短くなり、休止期にとどまる毛も増え、髪の毛が細くなり、最終的には毛が生えなくなります。

 

女性型脱毛症

女性では、男性と異なり頭頂部の比較的広い範囲の髪の毛が薄くなることが多く、発症時期も更年期頃が一番多くなります。男性型脱毛症のように完全に毛がなくなることはあまりありません。

薄毛の治療方法

早期発見と早期治療が重要です。

当院では皮膚科学会のガイドライン1)国際的に推奨されている2-5)エビデンス(科学的根拠)に基づいた治療を行っています。

簡単にいうと、男性では塗り薬と飲み薬、女性では塗り薬を主に用い、効果不十分な場合には飲み薬も追加する、という順番になります。

お薬の種類

ミノキシジルの塗り薬(リアップ)

頭皮の血流の改善と、成長因子(VEGF)を誘導することで、毛周期の成長期を延長、休止期を短縮し、また、小さくなった毛包を大きくします。

フィナステリド(プロペシア)

II型5αリダクターゼを阻害することにより、DHTの産生を阻害します。テストステロンの作用には影響を与えません。1mg/日内服すると、血中DHT濃度が60%以上低下するようです。4)

デュタステリド(ザガーロ)

I型とII型の両方の5αリダクターゼを阻害することにより、フィナステリドよりも強力にDHTの産生を阻害します。

フィナステリドとデュタステリドの副作用

性欲の減退気分の落ち込みが報告されています。2)

前立腺がんの関係についても、死亡率は上がらない、と報告されています。2)

フィナステリドとデュタステリドは副作用の程度は変わらないとされていますが、デュタステリドの方が効果が高いと考えられています。

そのため、当院ではデュタステリドの内服をおすすめしています。

内服により、PSAとよばれる、前立腺がんのマーカーの値が見かけ上低下してしまいます。

定期的な採血により、肝臓の数値を確認することが必要です。

ミノキシジルの塗り薬の副作用

使用開始後、一時的に抜け毛が増えることがあります。初期脱毛とよばれます。

皮膚のかぶれなどがあれば使用を中止してください。

体毛が濃くなることがあります。

男性型脱毛症の治療の流れ

血液検査(PSA、肝機能)を行います。問題がなければ、まずは、フィナステリド、もしくはデュタステリドの内服を行います。

副作用が気になる方は、ミノキシジルの塗り薬を使用します。

内服薬のみで効果があまり実感できない場合は、ミノキシジルの塗り薬を併用します。

女性型脱毛症の治療方法

女性の場合は、まずはミノキシジルの塗り薬を使用します。低濃度のものから使用します。

塗り薬で効果があまり実感できない場合は、スピロノラクトンというお薬を使用します。

内服にあたっては、血液検査の確認が必要です。

スピロノラクトンは利尿薬としても有名なお薬です。

スピロノラクトンのかわりにフィナステリドを使用することもあります。

 

また、AGAの進行を遅らせるためには、生活習慣の改善も重要です。バランスの取れた食事、適度な運動、ストレスの管理、十分な睡眠などに気をつけけましょう。

治療中に必要な検査

PSA

PSAは男性の方において、前立腺がんのマーカーとして用いられます。しかしながら、薄毛の治療薬によってPSAの値は見かけ上低下してしまいます。そのため、治療開始前にPSAの値を検査しています。

肝機能

薬により肝機能に影響がないか、内服開始前と、内服開始後数週間を目処に、採血検査を行います。

まとめ

薄毛は進行性ですが、早期の対策によってその進行を抑え、改善することが可能です。気になる症状がある場合は、早めに医師に相談し、適切な治療を受けることが大切です。当クリニックでは、薄毛に関するご相談や治療を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

料金表

初診カウンセリング 2,200円(税込み)
再診料 薬剤費に含まれています。
デュタステリド 7,700円(税込み)
フィナステリド  5,500円(税込み)
ミノキシジル(塗り薬)  4,400円(税込み)
スピロノラクトン  2,200円(税込み)
検査料金(肝腎機能、PSA)  各1,100円(税込み)

参考文献

1)日本皮膚科学会男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン(2017年版) 

2)UpToDate:Male pattern hair loss (androgenetic alopecia in males): Pathogenesis, clinical features, and diagnosis 

3)UpToDate:Female pattern hair loss (androgenetic alopecia in females): Pathogenesis, clinical features, and diagnosis 

4)UpToDate:Male pattern hair loss (androgenetic alopecia in males): Management

5)UpToDate:Female pattern hair loss (androgenetic alopecia in females): Management

 

・この記事は、より多くの方に病気に関しての知識を深めてていただく目的で執筆しています。病状ごとに、その方に提供される最善の医療は異なるため、治療方針に関しては必ず主治医にご確認ください。

・この記事は、信頼できる専門家の先生方が執筆、監修されているという観点、評価の定まっていない原著論文の引用を控えるという観点から、原著論文に加え、学会発行のガイドラインや、世界的に信頼され、参照されているデータベースであるUpToDateを積極的に参考文献として参照させて頂いております。

・記事の内容に不備、誤りなどありましたら、当院までご連絡いただけますと幸いです。正しい医療知識の普及のため、専門医をはじめとしたプロフェッショナルの方からのご意見・フィードバックを、是非ともお願いいたします。

文責:院長、認定内科医

最終更新日:2025/1/11

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