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甲状腺の機能異常とは?

✔甲状腺の病気には、バセドウ病橋本病などがあります。

頻脈や動悸、手の震え、発汗の増加や体重減少、イライラするなどの症状は、甲状腺機能亢進症の可能性があります。

冷え、倦怠感、無気力、下肢のむくみ、便秘などの症状は、甲状腺機能低下症の可能性があります

甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)についてはこちら

甲状腺機能低下症(橋本病など)についてはこちら

甲状腺とは?

甲状腺という名前を耳にされたことがある方も多いかと思います。甲状腺とはのどぼとけの下にあるちょうちょのような形をした臓器です。食物から摂取したヨウ素から甲状腺ホルモンを産生しています。甲状腺で作られた甲状腺ホルモンは血液ににより全身の臓器に運ばれて、代謝を活発にしたり、成長を促進したりと大切な働きをしています。甲状腺ホルモンは多すぎると、頻脈や動悸、手の震え、発汗の増加や体重減少、イライラするなどの症状がおこります。また、甲状腺ホルモンが少ないと、冷え、倦怠感、無気力、下肢のむくみ、便秘などにつながります。

甲状腺は柔らかい臓器でもあり、健康な方ではのどを触っても特に意識しないと思います。一方で、甲状腺の病気により甲状腺が腫れたりすると、触れたり、また見た目でも甲状腺がわかるようになります。(病状が進行していないと腫れなどが目立たないこともしばしばあります。)

甲状腺の病気

まず大きく甲状腺の病気には「形に異常がある病気」と「働き(機能)に異常がある病気」の2種類があります。

形に異常がある病気

甲状腺が全体的に「はれる」場合は、「びまん性甲状腺腫」、甲状腺にしこりがある場合は「結節性甲状腺腫」などとよばれます。

「しこり」の場合は、悪性腫瘍の可能性もあり、エコー検査に加え、細胞診などの検査が行われます。

働き(機能)に異常がある病気

甲状腺の機能が低下している場合を甲状腺機能低下症、逆に亢進してしまっている場合を甲状腺機能亢進症といいます。

機能が低下するとは、主には甲状腺ホルモンの産生が減少すること、亢進するとは、甲状腺ホルモンの産生が増加することをいいます。

甲状腺ホルモンが過剰の状態を甲状腺中毒症と呼びます。

ですので、甲状腺機能亢進症によって甲状腺中毒症になっている、ということがよくあります。

甲状腺機能の検査

甲状腺の機能検査では、主に下記3つのホルモンを測定します。

遊離サイロキシン(Free T4; FT4)

サイロキシン(T4)は甲状腺で作られる主要なホルモンで、甲状腺ホルモンの大部分を占めます。T4は遊離型(FT4)のみが生理活性を持つため、検査ではFT4を測定します。T4は、肝臓などでより活性の強いT3に変換され、体内でホルモンとしての働きをもちます。

遊離トリヨードサイロニン(Free T3; FT3)

T4から生成される生理活性のあるホルモンです。T3は、エネルギー代謝、成長、神経系の発達などにかかわり、体の中で多くの大切な役割を担っています。T3は遊離型(FT3)のみが生理活性を持つため、検査ではFT3を測定します。

甲状腺刺激ホルモン(TSH)

サイロキシン(T4)、トリヨードサイロニン(T3)の2つのホルモンに加え、TSHも甲状腺機能の大切な指標となります。甲状腺ホルモンの分泌は、視床下部や下垂体で調節されます。TSHは下垂体から分泌され、甲状腺ホルモンの分泌を促すホルモンです。そのため、一般的には、甲状腺ホルモンが過剰に多い状態(甲状腺機能亢進症)ではTSHは低下し、逆に甲状腺ホルモンが不足している状態(甲状腺機能低下症)ではTSHは上昇します。(このようなフィードバックをネガティブフィードバックと呼びます。)

その他の甲状腺の検査

血液検査
抗TSHレセプター抗体(TRAb)

バセドウ病で上昇します。

抗サイログロブリン抗体(TgAb)

橋本病で上昇します。バセドウ病でも上昇することがあります。

抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPOAb)

橋本病で上昇します。

エコー検査
甲状腺エコー

甲状腺の腫れなどの状態や、腫瘍がないかなどの確認を行います。

穿刺吸引細胞診検査

甲状腺で腫瘍が疑われる場合などに行われます。甲状腺に針を指して、細胞を吸引し検査を行います。(ご紹介での検査となります。)

 

参考文献

UpToDate:Laboratory assessment of thyroid function

 

・この記事は、より多くの方に病気に関しての知識を深めてていただく目的で執筆しています。病状ごとに、その方に提供される最善の医療は異なるため、治療方針に関しては必ず主治医にご確認ください。

・この記事は、信頼できる専門家の先生方が執筆、監修されているという観点、評価の定まっていない原著論文の引用を控えるという観点から、原著論文に加え、学会発行のガイドラインや、世界的に信頼され、参照されているデータベースであるUpToDateを積極的に参考文献として参照させて頂いております。

・記事の内容に不備、誤りなどありましたら、当院までご連絡いただけますと幸いです。正しい医療知識の普及のため、専門医をはじめとしたプロフェッショナルの方からのご意見・フィードバックを、是非ともお願いいたします。

文責:院長、認定内科医

最終更新日:2024/12/20

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