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家族性高コレステロール血症

✔LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高い場合、体質(遺伝)が関係していることがあります。

✔LDLコレステロールが生まれつき高い人は、家族性高コレステロール血症の可能性があります。

✔家族性高コレステロール血症の方では、若くして心筋梗塞などの動脈硬化による病気を発症することも多く、早期からの薬物治療が必要です。

家族性高コレステロール血症とは?

家族性高コレステロール血症とは、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高く、若いときから動脈硬化が進行する病気です。300人に1人程度と、比較的頻度の高い遺伝性の病気です。1)

家族性高コレステロール血症の方では、冠動脈疾患や末梢動脈疾患のリスクが高まってしまいます。若くして狭心症、心筋梗塞などの病気になってしまうことが少なくなく、小児期を含め、早期からしっかりとした治療が必要です。1)

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診断基準

日本のガイドラインでは、15才以上の方の場合、診断基準には下記3項目が挙げられています。1)

①高LDL-C血症(未治療時のLDL-C値180mg/dl以上)

②腱黄色腫あるいは皮膚結節性黄色腫(手の甲、膝、肘、まぶたなどにコレステロールの沈着した黄色い隆起が出現します。)

家族施高コレステロール血症、あるいは早発性冠動脈疾患の家族歴(第一度近親者)

 

※早発性冠動脈疾患とは、男性で55才未満、女性で65才未満でおこった狭心症や心筋梗塞のことをいいます。

 

15才未満の方の場合、診断基準には下記3項目が挙げられています。1)

①高LDL-C血症(未治療時のLDL-C値140mg/dl以上、複数回確認)

家族性高コレステロール血症の家族歴(親または兄弟)

③親のLDLコレステロールが180mg/dL以上または、早発性冠動脈疾患の家族歴(祖父母または親)

 

治療

家族性高コレステロール血症の方では、冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞など)のリスクが高いことから、LDLコレステロールの目標値は100mg/dL未満1)とされています。また、冠動脈疾患などのイベントがある二次予防の方では、LDLコレステロールの目標値は70mg/dL未満1)となっています。

薬物治療では、スタチンと呼ばれる薬が第一選択となっています。スタチンを最大量まで増量しても目標値に達しない場合にはエゼチミブというお薬を併用したり、PCSK9阻害薬といったお薬の併用が検討されます。

 

10才以上、15才未満のお子さんの場合には、生活習慣の改善を行ったうえで、LDLコレステロールの値が180mg/dL以上の場合にはスタチンによる薬物療法が開始され、LDLコレステロールの目標値は140mg/dL未満となっています。1)

10才未満の方でコレステロールの値が200mg/dL以上が持続する場合は、高次医療機関の受診が推奨されています。

 

まとめ

コレステロールの値が高い場合、若いから大丈夫、というわけにはいかないかもしれません。コレステロールの値が心配な方は、当院までご連絡いただければと思います。健康な生活を維持するお手伝いができればと思います。

 

参考文献

1)日本動脈硬化学会:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版

 

・この記事は、より多くの方に病気に関しての知識を深めてていただく目的で執筆しています。病状ごとに、その方に提供される最善の医療は異なるため、治療方針に関しては必ず主治医にご確認ください。

・この記事は、信頼できる専門家の先生方が執筆、監修されているという観点、評価の定まっていない原著論文の引用を控えるという観点から、原著論文に加え、学会発行のガイドラインや、世界的に信頼され、参照されているデータベースであるUpToDateを積極的に参考文献として参照させて頂いております。

・記事の内容に不備、誤りなどありましたら、当院までご連絡いただけますと幸いです。正しい医療知識の普及のため、専門医をはじめとしたプロフェッショナルの方からのご意見・フィードバックを、是非ともお願いいたします。

文責:院長、認定内科医・循環器専門医

最終更新日:2025/1/11

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