高尿酸血症【内科医が解説】
✔高尿酸血症は通風のリスクを高めます。
✔尿酸値が高い場合(8mg/dL以上)や、痛風発作を起こしたことがある方は、治療がすすめられます。
高尿酸血症とは?
高尿酸血症は、血液中の尿酸値が高い状態をさします。血清尿酸値が7.0mg/dLを超えると、高尿酸血症とよばれます。2)
尿酸は体内で細胞が壊れた時に生成される代謝物で、通常は腎臓によって尿として排泄されます。しかし、尿酸の産生が多い、または腎臓での排泄機能が低下していると、血液中の尿酸値が高くなります。
原因
食生活の変化に伴って、日本では高尿酸血症は増加傾向であり、2010年頃には成人男性の20-25%が高尿酸血症であったと報告されています。2)女性では、全人口の5%と言われており、男性に多い病気です。2)
食生活の偏り
プリン体が多い食品は尿酸値が高くなる原因となります。
遺伝的要因
「体質」が影響することもあります。
アルコールの過剰摂取
アルコールは尿酸値が高くなる原因となります。
肥満
体重が多いほど高尿酸血症のリスクが高まります。
病気や薬剤
特定の病気や薬剤が尿酸値を上げることがあります。
症状
高尿酸血症自体には特有の症状はありませんが、以下のような病気につながる可能性があります。
痛風
関節内に尿酸塩結晶が出現し、激しい痛みを伴う炎症を引き起こします。通風に関するページはこちら。
血中の尿酸値が8.0mg/dLを超えると通風のリスクが上昇し、9.0mg/dLを超えると更に高くなる、と言われています。2)
尿路結石
尿酸結石のリスクが上昇します。
腎機能障害
尿酸値が非常に高い場合は、腎臓にダメージを与えることがあります。多くの場合は、腎機能が低下した結果として尿酸値が高くなった、と考えられています。1)
慢性腎不全に関するページはこちら
高尿酸血症のお薬
無症状の高尿酸血症の方(今までに痛風発作などをおこしたことがない方)では、ガイドラインでは、血中の尿酸の数値が8mg/dlを超えると薬物治療が推奨されています。2)
尿酸値を下げるお薬は、尿酸生成抑制薬と尿酸排泄促進薬に大別されます。
尿酸生成抑制薬
キサンチン酸化還元酵素(XOR)を阻害し、尿酸の酸性を抑制します。2)
アロプリノール(ザイロリック)
1日2〜3回の内服です。腎機能に応じて投与量の調節が必要です。
フェブキソスタット(フェブリク)
1日1回の内服です。腎機能の影響をあまり受けません。
トピロキソスタット(トピロリック)
1日2回の内服です。腎機能の影響をあまり受けません。
尿酸排泄促進薬
ベンズブロマロン(ユリノーム)、ロサルタン(ニューロタン)、プロベネシド(ベネシッド)などがあります。2)
ロサルタンはARBに分類され、高血圧や腎機能が低下している方でも使われます。
また、中性脂肪が高い時などに使われるフェノフィブラートにも、尿酸排泄を促進する作用があります。2)
生活習慣の改善
高尿酸血症の治療には、生活習慣の改善が重要です。野菜を中心とした食生活と適度な運動を心がけましょう。また、アルコールも控えましょう。
食生活の見直し
プリン体の少ない食品を選び、バランスの良い食事を心がけましょう。
減量
節酒
プリン体を低く抑えたアルコール飲料もあります。特に、ビールは避けましょう。また、アルコール自体も尿酸値を上昇させます。適度なアルコール摂取に努めましょう。
1日の目安として、日本酒1合、ウイスキー60ml、ワイン148mlまでは血清尿酸値への影響が少ないとされています。2)
積極的な水分摂取
水分を多く摂ることで尿酸の排泄を促進します。
まとめ
高尿酸血症は、適切な管理と治療によりコントロールすることが可能です。日々の生活習慣の見直しと定期的なチェックが重要です。高尿酸血症や関連する症状について、いつでも当クリニックまでご相談ください。
参考文献
1)UpToDate:Asymptomatic hyperuricemia
2)日本通風・尿酸核酸学会:高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版
・この記事は、より多くの方に病気に関しての知識を深めてていただく目的で執筆しています。病状ごとに、その方に提供される最善の医療は異なるため、治療方針に関しては必ず主治医にご確認ください。
・この記事は、信頼できる専門家の先生方が執筆、監修されているという観点、評価の定まっていない原著論文の引用を控えるという観点から、原著論文に加え、学会発行のガイドラインや、世界的に信頼され、参照されているデータベースであるUpToDateを積極的に参考文献として参照させて頂いております。
・記事の内容に不備、誤りなどありましたら、当院までご連絡いただけますと幸いです。正しい医療知識の普及のため、専門医をはじめとしたプロフェッショナルの方からのご意見・フィードバックを、是非ともお願いいたします。
文責:院長、認定内科医
最終更新日:2025/1/11