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不整脈【循環器専門医が解説】

動悸がする、脈がとぶ胸がドキドキする、ふわっとする、息切れがする、それは、不整脈かもしれません。

✔当院では、循環器専門医が診療にあたり、必要に応じて12誘導心電図ホルター心電図などの検査を行っています。

心房細動などの一部の不整脈は早めに治療をすることが必要です。

✔当院では適切なタイミングで薬物治療、カテーテル治療が提案できるよう、努めています。

不整脈とは?

不整脈は、心臓のリズムが通常より速くなったり、遅くなったり、または不規則になる状態です。心臓は電気的シグナルによって動く筋肉であり、このシグナルが異常をきたすと、不整脈が生じます。

当院では、循環器専門医によるきめ細かな薬剤管理をはじめとしたサポートにより、不整脈のよりよい治療を提案できるように努めています。

脈が飛ぶ・動悸がする方は、こちらのページもご覧ください。

主な不整脈

期外収縮

脈がとぶ、という症状で最も多い不整脈です。心臓は、洞結節というところから定期的に電気的な信号(興奮)がでて、その電気信号が心臓全体に伝わって収縮します。期外収縮は、この洞結節以外のところから電気信号がでることで、正しいリズムとは違った時に心臓が収縮します。無症状の場合、多くは治療の必要はありませんが、状況により薬物治療が必要となります。(心収縮が低下している場合や、心室期外収縮がとても多い場合には治療の検討が必要です。)また、症状が強い場合は不整脈をでにくくするお薬(βブロッカーなど)を使うことで、症状を緩和することができます。

期外収縮は、その電気信号がでるところによって、上質性期外収縮と心室性期外収縮に分類されます。上質性期外収縮とは、期外収縮の原因となる電気的興奮が上のお部屋(心房)からでるもの、心室性期外収縮とは、期外収縮の原因となる電気的興奮が下のお部屋(心房)からでるものです。

心房細動

心臓は4つのお部屋(右心房、左心房、右心室、左心室)から構成されます。心房細動では、この心房と呼ばれるところで電気的な信号がたくさんでて、常に収縮する信号がでている状態になります。そのため、一部の収縮する信号が心室を収縮させることで、脈はばらばらになります。(※心房細動の詳しいメカニズムは完全には明らかになっていませんが、概念としては、下の図のようなイメージと理解していただければと思います。)

心臓の中で血栓を作ってしまい、脳梗塞などの危険があるので、抗凝固薬の内服が必要です。

薬物治療や、カテーテルによる治療があります。心房細動について、くわしくはこちら

上室性頻拍(PSVTなど)

心臓の中に、電気信号を伝える回路が余分にあることで頻脈発作が出現することがあります。

昔から胸が突然どきどきすることがあった、という方もこの不整脈かもしれません。大人になってから症状がでることもあります。発作がほとんどない場合は、無治療でもよいことがあります。βブロッカーなどの薬物治療やカテーテルによる治療があります。発作を何度も繰り返す方は、カテーテルによる根治療法が推奨されます。

WPW症候群

WPW症候群とは、Wolff-Parkinson-White syndrome(ウォルフーパーキンソンーホワイト症候群)のことです。心電図でデルタ波と呼ばれる出現しますが、このデルタ波は、心電図をとる時によって出るときと出ないときがあります。そのため、健康診断でも指摘されたり、されなかったりします。

WPW症候群では上室性頻拍(PSVT)の頻脈の発作がおこりやすいため、症状の頻度によっては治療が必要です。βブロッカーなどの薬物治療やカテーテルによる治療があり、症状の頻度に応じて治療方針を決定します。無症状の場合では、積極的な治療は必要ないことが多いです。

頻脈

心拍数が速い状態のことをいいます。甲状腺機能亢進症でも脈が早くなることがあります。

徐脈

心拍数が遅い状態のことをいいます。内服薬が原因になっていることの他に、洞不全症候群や

房室ブロックといった不整脈が原因のこともあります。徐脈による症状がある時は、ペースメーカーが必要になることがあります。

症状

不整脈はいろいろな症状の現れ方があります。

脈の乱れ

胸の痛みや圧迫感:心房細動や発作性上質頻拍などで頻脈となると、胸の痛みや圧迫感として感じることがあります。

息切れ

めまい

失神

疲労感

検査

不整脈の診断には、症状と、心電図で波形を捕まえることが必要です。病状に応じて必要な検査は異なります。

12誘導心電図(ECG)

心臓の電気的活動を記録します。12種類の誘導(波形)を確認できます。

ホルター心電図

24時間(〜数日間)心電図を連続記録します。不整脈が1日のうちの少しの間しかおきていないこともあるため、長時間の記録が必要となることがあります。また、期外収縮などの1日の総量を把握するのにも役立ちます。測定中も、シャワーやお風呂が可能です。

心エコー検査

心臓に心筋症虚血性心疾患などの器質的疾患がないことを確認します。

血液検査

甲状腺機能などを確認し、他に基礎疾患がないか調べます。

閉塞性睡眠時無呼吸の検査

症状や検査結果によっては、睡眠時無呼吸症候群の検査をすることもあります。

携帯型心電計(当院では保険診療では対応しておりません。)

症状がある時に簡易的な心電図をご自身で確認することができます。

その他、スマートウオッチなども診断の助けとなることがあります。現時点では、ノイズが多いなどの理由からスマートウオッチでは詳細な診断は困難なことも多いですが、データをお持ちの方は、一度診察時に見せていただければと思います。

治療

不整脈の治療は原因と症状により異なりますが、以下のような方法があります。

βブロッカー

心臓に促進的に働く交感神経のβ受容体をブロックすることで、不整脈をでにくくします。

抗不整脈薬

心臓のイオンチャネルに働きかけ、不整脈をでにくくします。不適切な使用は健康を害することもあり、適切に使用する必要があります。

カテーテルアブレーション

不整脈の原因となっている心臓の部位を、焼灼または冷凍凝固することで、不整脈の再発を抑えます。

ペースメーカー植込み型除細動器

不整脈の種類によっては、ペースメーカーなどが必要となることがあります。必要時には、高次医療機関に速やかにご紹介いたします。

まとめ

いろいろな種類の不整脈がありますが、期外収縮、心房細動、発作性上室性頻拍などが代表的です。放置しても問題のない不整脈もありますが、心房細動など、早期に治療の必要な不整脈もあります。症状にお困りの場合は、早めに主治医までご相談ください。

 

参考文献

日本循環器学会:2022年改訂版 不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン

 

・この記事は、より多くの方に病気に関しての知識を深めてていただく目的で執筆しています。病状ごとに、その方に提供される最善の医療は異なるため、治療方針に関しては必ず主治医にご確認ください。

・この記事は、信頼できる専門家の先生方が執筆、監修されているという観点、評価の定まっていない原著論文の引用を控えるという観点から、原著論文に加え、学会発行のガイドラインや、世界的に信頼され、参照されているデータベースであるUpToDateを積極的に参考文献として参照させて頂いております。

・記事の内容に不備、誤りなどありましたら、当院までご連絡いただけますと幸いです。正しい医療知識の普及のため、専門医をはじめとしたプロフェッショナルの方からのご意見・フィードバックを、是非ともお願いいたします。

文責:院長・認定内科医・循環器専門医

最終更新日:2025/1/11

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