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COPD(慢性閉塞性肺疾患・肺気腫)

COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは、たばこなどが原因で肺が傷んでしまう病気です。

✔COPDの治療には、禁煙がとても大切です。

✔当院では、呼吸機能検査(スパイロメトリー)を行っています。

COPDとは?

COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、タバコの煙などの有害物質を長期に吸入することで生じる肺の病気です。わかりやすく、慢性気管支炎肺気腫などと呼ばれることもあります。肺が傷んでしまうため、進行すると息切れなどの症状が出現します。

また、COPDでは肺だけでなく、その炎症が全身に波及し、栄養障害や心血管疾患(高血圧や狭心症、心筋梗塞、不整脈など)、骨粗鬆症、糖尿病などの様々な併存疾患がおこります。1)

日本においては、500万人以上の患者さんがいると推定されていますが、数十万人ほどの方しか治療を受けていないとされており、1)疾患への理解を広めることが求められています。

原因

COPDの最も一般的な原因は、長期間にわたるタバコの喫煙であり、喫煙者のおよそ15〜20%がCOPDを発症するとされています。1)一方で、約10%の方は喫煙歴がありません。また、タバコを吸う人の全員がCOPDになるわけではないことから、体質(遺伝)との関連も指摘されています。禁煙をすることでCOPDの進行を遅くすることができ、30年禁煙すると喫煙の影響はほとんど無くなると報告されています。

その他の原因として、大気汚染、粉塵の吸入、幼少時の繰り返す気道感染、喘息などが挙げられます。1)

症状

初期は、無症状のことも多いです。

慢性的に咳や痰がでます。

進行すると、息切れがでるようになります。

喘鳴(ヒューヒューする音)

体重減少

食欲不振

肺の合併症

喘息1)

およそ25%の方で喘息を合併します。ACO (Asthma and COPD overlap)と呼びます。

肺がん1)

COPDの方は肺がんの合併リスクが高いです。

気腫合併肺線維症1)

肺気腫と肺線維症を合併します。

COPDの病型

気腫型(気腫性病変優位型)

胸部レントゲンや胸部CTで気腫性陰影があります。

非気腫型(非気腫性病変優位型)

胸部レントゲンや胸部CTで気腫性陰影があまりみられません。

COPDの病期分類

 

病期

定義

I期

軽度の気流閉塞

%FEV1≧80%

II期

中道度の気流閉塞

50%≦%FEV1<80%

III期

高度の気流閉塞

30%≦%FEV1<50%

IV期

極めて高度の気流閉塞

%FEV1<30%

※COPDの診断基準では、FEV1/FVC<70%を用いますが、病期分類では%FEV1を用います。

FEV1:1秒量:胸いっぱいに息を吸ってから、最大の速さで1秒間に吐き出した時の空気の量

FVC:努力肺活量:胸いっぱいに息を吸い、最大の速さで息を一気に吐き出した時の空気の量

%FEV1:1秒量/予測1秒量(肺が健康であった場合に予測される1秒量)

検査

胸部レントゲン

肺野の透過性亢進、横隔膜の平底化などがおこります。また、悪性腫瘍の合併や、その他の肺疾患の否定も行います。

呼吸機能検査

スパイログラムなどを行います。

心臓超音波検査

肺高血圧症のスクリーニングのために行われることがあります。

その他、さらに詳細な呼吸機能検査やCT検査を含め、様々な検査が行われることがあります。

治療

現在のところCOPDを根本的に治す方法はありませんが、適切な治療により病気の進行を遅らせることができます。

薬物療法

吸入薬

主には、LAMA(長時作用型抗コリン薬)、LABA(長時間作用性β2刺激薬)と呼ばれるお薬が遣われます。喘息を合併されている方では、吸入ステロイドも併用します。

その他の治療

禁煙

COPDの治療において最も重要です。また、受動喫煙も避けましょう。

インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンの接種

COPDの方は感染症にかかりやすくなります。ワクチンにより感染症にかかるリスクや、かかった時の重症化のリスクを減らすことが大切です。

呼吸リハビリテーション

口すぼめ呼吸や腹式呼吸などの呼吸訓練や運動療法、栄養指導などがあります。

栄養

COPDの方では、高エネルギー(基礎代謝量の1.7倍)で、高タンパク(体重あたり1.2〜1.5g)の食事が推奨されています。1)

在宅酸素療法

重度のCOPDの方には酸素療法が必要となることがあります。

まとめ

COPDは主には喫煙などにより、徐々に肺が壊れてしまう病気です。COPDが疑われた場合には禁煙することがとても大切です。また、吸入薬をはじめとした治療によって、症状の改善が期待できます。症状に気づいたら、早めに医師の診察を受けることが重要です。

参考文献

1)日本呼吸器学会:COPD診断と治療のためのガイドライン2022 

2) UpToDate:Stable COPD: Overview of management 

この文章は、呼吸器専門医の方にレビューをしていただいています。

・この記事は、より多くの方に病気に関しての知識を深めてていただく目的で執筆しています。病状ごとに、その方に提供される最善の医療は異なるため、治療方針に関しては必ず主治医にご確認ください。

・この記事は、信頼できる専門家の先生方が執筆、監修されているという観点、評価の定まっていない原著論文の引用を控えるという観点から、原著論文に加え、学会発行のガイドラインや、世界的に信頼され、参照されているデータベースであるUpToDateを積極的に参考文献として参照させて頂いております。

・記事の内容に不備、誤りなどありましたら、当院までご連絡いただけますと幸いです。正しい医療知識の普及のため、専門医をはじめとしたプロフェッショナルの方からのご意見・フィードバックを、是非ともお願いいたします。

文責:院長・認定内科医

最終更新日:2025/1/11

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